浜田小児科内科クリニック|尼崎市南塚口町の小児科・内科・アレルギー科

治りにくい中耳炎

鼻汁が続いている乳幼児はよく中耳炎を合併します。特に「あおばな」が続いている2歳までの子供に合併する頻度が高いです。保育園に通い出すと、すぐに鼻に細菌をもらうことになりますので、「あおばな」を出している子供が多くなってきます。「あおばな」は細菌感染が原因となっていることが多いのですが(細菌が原因となっている訳ではない)、「あおばな」を治療するために細菌を殺す抗生物質を安易に投与してはいけません。鼻は空気の入り口ですから、さまざまな細菌が侵入してきます。どんな抗生物質でもそのさまざまな細菌をすべて殺せる訳ではありません。抗生物質を服用して一過性に「あおばな」が良くなったとしてもすぐにぶり返してきますが、その時には以前使った抗生物質で殺せなかった細菌が生き残り増殖し原因となっていることがあります。鼻の粘膜にいる体を守ってくれている善玉の細菌も抗生物質で死んでしまうので、悪玉の細菌は敵がいなくなった環境で増殖しやすくなります。

今通っておられる医院では中耳炎の有無を診てくれていますか?「あおばな」を治療するためにすぐに抗生物質を処方されていませんか?

鼻の中で増殖した細菌が中耳炎の原因になることが多いのですが、最近は抗生物質が効かず治りにくくなっています。その原因は「医者が抗生物質を安易に処方する」以外にありません。抗生物質が効かない細菌を耐性菌と言いますが、抗生物質の開発は耐性菌との戦いでもあります。製薬会社がいくら良い薬を開発してもよく効くからと言って医者が安易にその新しい薬を使うと、早々にその新しい薬にも効かない耐性菌がはびこってきます。そのため、耐性菌をなるべく作らない抗生物質の使い方を日本小児科学会も日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も勧めています。ところが、推奨されている抗生物質の使い方を守らず、最初から新しい強い抗生物質を処方する医師が多くいます。「治りにくい中耳炎」が増えているのはそのせいです。私は正直怒っています。

「あおばな」は抗生物質を投与しない治療でもほとんどが治ってきます。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では「抗生物質を投与しない治療」を10日間は続けてみましょう、と勧めています。