浜田小児科内科クリニック|尼崎市南塚口町の小児科・内科・アレルギー科

インフルエンザワクチン(その1)

インフルエンザワクチンのシーズンになりました。数十年前まではワクチンは集団接種でしたが感染阻止作用も発症阻止作用も低いという理由で中止になりました。中止後に発病者が増加したためワクチンの作用が見直され現在に至っています。しかし相変わらず発症阻止作用が低いのは変わりません。

A型インフルエンザにはHとNという型区別(H1N1とかH3N2とか)以下に小さな種類の違いがあります。種類の違いが大きくなると流行を起こしてしまいます。新型インフルエンザはH1N1でAソ連型と同じだったのですが、種類の違いが大きかったために流行してしまいました。その新型インフルエンザを標的にしたワクチンでも予防作用は70%に届きませんでした。ワクチンはその年に流行すると予想される種類を標的にして作られるのですが、種類がたまたま違った年ではインフルエンザの発症率はワクチン接種者も非接種者も変わりませんでした。(このデータには驚きました)

ワクチンの専門家によればインフルエンザワクチンは「ブースターワクチン」と言われています。ブースターとは体内に保有している抵抗力をワクチンによって強化するという意味です。ですから今までインフルエンザに罹患したことの無い人やワクチンを接種したことの無い人にはほとんど作用しないと思われます。

ワクチンの作用は血中で発揮します。老人や抵抗力の弱った人はインフルエンザウイルスが全身に広がり肺炎などを併発することがありますが、ワクチンはこれを阻止します。

しかし、ワクチンは粘膜上での抵抗力には作用せず、発病を阻止することができないため、発熱や脳炎の予防にはなりません。インフルエンザ脳炎発症者の半分程にワクチン接種歴があり、ワクチンが脳炎を予防できなかったことがわかります。