浜田小児科内科クリニック|尼崎市南塚口町の小児科・内科・アレルギー科

よい子(その7)

どんな親でも子を持つと「こういう子供に育ってほしい」といった願望を持つと思います。それは決して間違っていることではありませんが、子供の将来像まで決めつけてしまうのは先走りすぎでしょう。良い大学に入ってほしいとか野球選手やJリーガーにしようなどといったことです。特に「よい子」に対しては幼いころからそのような目標設定をしてしまうと、親の希望をかなえようと努力します。それが自分の希望ならば良いのですが、幼いうちから自分の希望がしっかりと見えている子どもなどほとんどいません。

たとえ「よい子」でも頑張ってもうまくいかない時があります。うまくいかなくても良いということを伝えてあげるべきで、うまくいかなかったからといって親が「失望のため息」をつくと、「よい子」はうまくいかなかった自分を親が受け入れてくれないと悲観して、さらに自分を殺して頑張ろうとします。

「よい子」の親は小さい頃から親自身も「よい子」であったということが多いようです。厳格に育てられ社会的地位が高い方も多いです。社会的な地位だけからいえば人生の成功者と言ってもおかしくはないでしょう。地位や金銭面の豊かさだけが人生でしょうか。そのような方は子供には貧しい思いをさせてくないと考え、自分が育ったように厳格に子供を育てます。「よい子」を再生産してしまうのです。親がその親に育てられたように子供を育てます。幼いころから競争社会に身を置くことになります。親も他人からの評価を気にし、他人の子供の様子に気が取られます。

自分の子供が「よい子」であると気がついたなら、まず「よい子」の人間性を尊重しましょう。その上で先の将来の目標設定をせず、他人からの評価に気を取られず、「失望のため息」は慎み、子供の存在自体を喜び、それを素直に子供に表現しましょう。子供の成果や成績を評価するのではなく、子供の存在を愛するようにしましょう。どの親たちも心の中では子供が生きててくれればそれでいいと思っているはずです。それを素直に表現すればいいのです。