2009/02/03
「よい子」の何が問題なのか、ということを少し書きます。「よい子」たちも思春期になる頃までは特に問題なく過ごすことが多いです。思春期というのは動物でいえば巣立ちの時期です。群れを離れて自分の力で食べ物を得たり、外敵から身を守ったり、伴侶を得て子作りをするいわば大人の仲間入りをする時期です。人間も動物の一種です。本能の部分はまだ動物とさして変わらないことも多いのです。人間の世界ではまだ中学生くらいでしょうから家を出て独り立ちする必要はありません。ところが脳や臓器やホルモンは独り立ちの準備に取り掛かっています。独り立ちできる中学生なんかいないと思われるでしょうが、「よい子」たちはもっと幼い時点で精神発達が立ち止っています。あんなにちゃんと先生や親の言いつけを守り、なんでも頑張り成績もそこそこよく、クラスではリーダーシップをとってみんなをリードしてきた「よい子」なのにです。
本能の部分では独り立ちをしようとしているのに、精神の部分はそれを拒んでいます。頭の中が分裂した状態です。独り立ちする時期になって子供の頃になしえなかった本当の体験、周囲の評価とは関係のない体験、その中には我慢していたお母さんへの甘えも含まれるでしょう、が必要になってくるのです。といってもそれまでの十数年という人生の間で抑え込まれていたことをいきなり発揮するのは不可能ですし、発揮できたとしてもすぐに独り立ちの準備ができるわけがありません。
よく見られる症状は不登校です。これがこじれるとひきこもりになったりします。そういった症状が出ない人でも自分の人生を楽しめないとか、何か周りに悪いことが起こると自分のせいでそうなったと悩んだりとか、自分がすごく小さい存在という過小評価をして自殺することをすぐに考えたり、などさまざまなことが「よい子」たちを苦しめます。
ニュースなどで、親を殺して捕まった人が小さい頃はどうであったかという周りの人の評価を聞いてみてください。ほとんどが「あんなにいい子がこんなことをするとは信じられません。」です。そんな「いい子」がなぜ自分の好きな親を殺さなければならなかったのか。ちょっと極端な例に走りすぎましたね。