浜田小児科内科クリニック|尼崎市南塚口町の小児科・内科・アレルギー科

よい子(その2)

子供は特にそうですが、人間はいろいろなことを体験することで人格が形成されていきます。理想的な体験とは、本人が自分で考えて、自分の興味に従って行動することで得られる経験です。子供に経験させようと親が敷いたレールの上を歩かすことでは、子供の人格を形成するほどの体験にはなりにくいようです。「よい子」たちは親が満足できるように、親から褒めてもらえるように頑張ります。その結果それなりに成果を生み出すこともあるでしょう。それで自信を得て、自分からも進んで親の評価から離れて行動するようになればいいのですが、なかなかそうはいきません。親の関心が他のことに移ると子供の頑張りもそこで途絶えてしまうことがほとんどです。そういう体験は人間の礎はなりえません。

教育熱心な方は子供にいろいろなことを習わせようとします。それが決して悪いこととは言いませんが、しばらく習わせてていても自分から進んでするようにならなければあまり意味のない習わせ事になります。子供が頑張っている姿を見て、子供のためになっていると思い込むのは早計です。

本来はいろいろな友人らと野山を駆け回るような日々を送ることが、人格を形成する上で一番の体験になると考えますが、都会生活ではなかなかそのようにはいきません。いろいろな友人と付き合い、いろいろな考え方の人間と接し社会での生き方を能動的に自分で工夫する。社会的に許される範囲で自分の興味本位でいろいろな悪さやいたずらをする。子供に経験さすということは、大人が寛容な気持ちで子供の行動をできるだけ制限せず、見守ることだと考えます。

小さい頃の習いごとから、それを職業にまで昇華させるとは言わないまでも、その人の一生の趣味になることすらあまり聞きません。よく頑張った人でさえ少し字が上手とか、ピアノが上手とかで自慢できるくらいです。結局は身についていないということなんでしょう。