2008/10/07
インフルエンザの予防接種の時期が近づいてきました。予防接種をしてもインフルエンザにかかってしまわれる患者さんが毎年何人かおられます。それも高熱を出す人もいます。インフルエンザの型がワクチンと感染したのとでは違ってたと言われる方がいますが、そうではないこともよくあります。インフルエンザワクチンはそもそも重症化を防ぐのが主な目的と言われています。重症化とは高熱という意味ではなく、インフルエンザによる肺炎などのことです。残念ながら脳炎のことではありません。さらにこのワクチンはブースターワクチンと言われていて、あらかじめインフルエンザの抵抗力を持っている人(インフルエンザに感染したことのある人)の抵抗力をさらに強める作用のワクチンということです。インフルエンザが流行した季節に、まだ生まれてなかった乳児や、お母さんからもらった抵抗力がまだ残っている6,7か月未満だった乳児(今の年齢からいえば1歳2カ月未満くらい)にはワクチンの作用はあまり期待できません。
インフルエンザは主に鼻の粘膜に感染します。そこで繁殖して高熱が出ます。高熱が出るのは人間の抵抗力(免疫)が働くからです。インフルエンザ脳炎はこの時の抵抗力(免疫)の過剰反応が原因と考えられています。ワクチンで得られる抵抗力は血液中にあって鼻の粘膜にはほとんどありません。ですから予防接種をしていても感染してしまうのです。インフルエンザウイルスがまだ血液中に入らない鼻の粘膜でとどまっている時にインフルエンザ脳炎が発症してしまうので、予防接種をしていても脳炎になってしまう人が出てきます。
インフルエンザの予防接種は意味が無いように思われるかもしれませんが、病気の期間を短くする作用は期待できます。多くの人(集団のほとんど)が接種をすれば、インフルエンザに感染しない人も多くなってきます。現在属している集団(家庭、保育園、幼稚園、学校など)のほとんどの人が予防接種をすれば発揮されるでしょう。属している集団の中で、予防接種をすまされた人が少数派ならば、集団でインフルエンザが流行している時はそこへは行かないのが一番の予防手段です。