2010/09/07
本日の新聞に薬剤耐性遺伝子NMD1をもった大腸菌のことが書かれていました。
薬剤耐性遺伝子は他の細菌でも持っていることは報告されていますが、NMD1がことさら恐れられているのはこの遺伝子が大腸菌以外の細菌にも伝搬する可能性があるからです。
薬剤耐性とはこれまでにも書いてきましたが、薬が効かないという意味です。大腸菌は腸にいつもいる(常在)菌の一つですが、病原因子の獲得により病原大腸菌(O-157など)となり下痢などを引き起こすようになります。NMD1遺伝子がサルモネラやコレラのようなもっと怖い細菌に伝搬したら、その細菌は殺すことができないので大腸菌よりもっと大変なことになりかねません。
今回の報道では亡くなったのは病気で弱った人に限られていますが、元気な人でも亡くなるような事態に変化する可能性があるのです。なぜこのような遺伝子ができてしまったかといえば、細菌が生き延びるために進化したからです。細菌の進化を助けたのは細菌を殺す抗生物質です。
抗生物質は人間が生きていくためには大事な薬ですが、このような恐ろしい現象を引き起こす原因でもあります。