2009/01/08
風邪の原因のほとんどはウイルスです。そのウイルスをやっつける薬はこの世の中にはありません。細菌を殺す抗生物質はもちろんウイルスには効きません。処方されている風邪薬は風邪の症状に対する薬です。ただ風邪のときに出る鼻水や咳にもそれなりに意味があって、鼻やのどや気管にとりついたウイルスをからだの外に追い出すために出てきます。むやみに止めてしまうとかえって風邪が長引くとも考えられます。ですから私は薬をあまり処方しません。特に咳止めは特殊な場合を除いてほとんど出しません。肺炎や気管支炎や喘息発作の時は咳で苦しめられますが、咳を止めるのは改善を遅らすばかりでなく、危険な医療です。人間の治癒力の邪魔をしないのは去たん剤くらいでしょうか。
この年末年始に医療センターの当番を2回しました。いろいろな医療機関で治療されている患者さんが来られます。そういう方々が日ごろ処方されている薬を拝見すると、無駄な薬、かえって逆効果と思えるような薬がよく処方されています。なぜそうなるのかといえば、そういう医療機関の医師は状態に応じて薬を変えないか、あるいは症状を抑えることの功罪を深く考えていないからでしょう。作用を確認されずに抗生物質を延々と処方するなどとんでもないことです。
市販の風邪薬にも同様のことが言えます。普段の風邪には薬はほとんど必要ないのです。